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社長の条件と軌跡

『生まれてはじめてみたもの』part1掲載しました

『生まれてはじめてみたもの』part1 2014.10.21 

プロローグ

生まれて初めて見たもの

 

 高畑義男は、早くから、その年の年末年始を箱根の温泉で過ごすことに決めていた。例年なら自宅でゆっくりと過ごすのだが、長男の博が、翌春、中学校に上がるこの時期に、見せておきたいものがあったのだ。そのために国道一号線沿いの有名な温泉旅館を、夏前にはすでに予約した。

 

高畑義男は地元の東京都江東区で建築会社を経営していた。

従業員19名。決して大きな企業ではないが、地元密着の丁寧、親切がモットーの会社で、義男の口癖は常に「お客様のため、お客さまが満足してくれる、高品質の家をつくりたい」というものであった。仕事には厳しいが、人一倍従業員思いの経営者で、地域からも従業員からも厚い信頼を得ていた。

 従業員が働いているときは、自分も絶対休まない。誰よりも、会社に早く出社し、誰よりも遅く会社を後にするというのが彼のスタイルだった。週末はお得意さんのところへあいさつ回りや情報交換に出ることも多く、休みはほとんどないほどの多忙ぶりだった。

 その父から、冬休みに入ってすぐに博と3歳上の姉の恭子は、

「今年のお正月は温泉旅行だ」

 と告げられた。

 久しぶりの家族水入らずの温泉旅行。

博も恭子も躍り上がって喜んだのは、言うまでもない。

こうして一家4人は、1230日の昼過ぎ、義男の運転する車で箱根入りした。

 さて箱根にきて3日目。年が改まった1月1日の夜のことである。

 父親は家族にある提案をした。

「明日は箱根駅伝がある。みんなで観戦しようじゃないか」

 これが実は義男の目的だった。

 

つづく・・・

 

 

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